有事法制阻止の共同呼びかけ、寺社訪問は107
平和と民主主義をすすめる左京懇談会では、米英によるアフガニスタン空爆開始翌日の10月9日以来、「テロも報復戦争もごめんだ」「自衛隊の参戦反対。日本は憲法9条を掲げ、平和のイニシアチブを」と訴え、百万遍、熊野神社前、修学院駅前、イズミヤ前などの街頭宣伝を連日継続してきましたが、まもなく9ヶ月目に入ります。
また有事三法案が国会に上程されたのち、4月22日からは、有事法制反対の共同を呼びかけ、寺社や教会を訪ね、6月4日現在で107ヵ所となりました。
これらの活動は、戦争と平和の問題が日常的な課題となった今、諸活動発展のいわば「通奏低音」の役割を果たしてきたといえます。そして5月以降の有事法制阻止の運動発展の起動力ともなってきました。運営委員会では、有事法案廃案へ、いっそう多くの会員のみなさんの参加を呼びかけています。
有事法制阻止・憲法擁護へ大きな共同を
小泉内閣は4月17日、ついに「武力攻撃事態法案」など有事三法案を国会に上程、26日には、衆院本会議で審議が始まりました。6月19日の会期末へ、戦後の憲法体制を守り発展させるのか、「有事」を口実とした自由と人権抑圧の独裁体制に道を開くのか、鋭い政治的対決が迫られる重大な時期に入りました。
この歴史的なときに当たり、私たち「平和と民主主義をすすめる左京懇談会」(略称:さきょう平・民・懇)は、これら有事三法案を阻止し、憲法に根拠づけられた平和と民主主義を守るために、ともにたたかいに立ち上がられるよう訴えます。
有事三法案は、政府がひとたび「有事」と認定すれば、首相に独裁的な権限を集中し、超憲法的な措置をとって、国民を戦争に動員する仕組み、いわば「戦争国家体制」をつくろうとするものです。
しかもこの「有事」というのは、国会論戦で明らかにされたところでは、現にインド洋でアメリカの報復戦争に「後方支援」として参戦している自衛隊の艦船が攻撃を受けた場合、「わが国に対する武力攻撃に該当する」、あるいは米軍がアジア太平洋地域で軍事介入する「周辺事態」において、対米支援の自衛隊が攻撃を受けたケースでも同様というのですから、現状はすでに有事認定の一歩手前、危機的なものといっても過言ではありません。
事実昨年9月、日米間の軍事協議で米軍と自衛隊が合意し、双方が署名した作戦計画がすでに存在しています。「米軍有事」と「日本有事」を一つにした共同作戦計画がゴーサインを待っている状況ではないでしょうか。
これらの事実が示すものは、アメリカの戦争に協力することが、有事法制発動の引き金になることであり、有事法案は、小泉首相のいうような侵略に対する備えでは決してなく、米軍の戦争への国民の強制的総動員であることです。
私たち「平和と民主主義をすすめる左京懇談会」(略称:さきょう平・民・懇)は、「“国民が主人公”の政府をつくることを展望し、生活向上、民主主義、平和の三つの共同目標にもとづく国民的共同をすすめることを目的」(全国革新懇会則)として、左京区で活動を続け、今年は活動再開11年目に当ります。私たちは「思想・信条のちがいをこえて」これら三つの共同目標に賛同する団体やグループ、個人によって構成されています。この基本的立場から、みなさんに「有事法制阻止・憲法擁護」のたたかいに、ともに立ち上がられるよう繰り返し訴えるものです。
5月6日の松ヶ崎での有事法制問題学習会を皮切りに、各地でさかんに学習会が開かれるようになりました。そのいくつかに「さきょう平・民・懇」も呼ばれて、協力してきました。その際のレジュメを参考資料として掲載します。
体制をめぐる根本的対決
有事法制阻止・憲法再生のたたかい
平和と民主主義をすすめる左京懇談会(略称:さきょう平・民・懇)
2002年5月6日作成、5月11日、5月19日、5月24日改定
1)国の進路を左右する根本的対決
<国会審議の状況>
小泉内閣、有事三法案を国会に上程(4月17日)、衆院本会議で審議入り(4月26日)。会期末は6月19日。衆院有事法制特別委員会で質疑(5月7-9、16-17、20日)。与党三党が「単独審議」を強行(21-22日)。野党4党首会談で小泉内閣即刻退陣を要求(23日)。首相が自民党山崎幹事長に審議正常化を指示(23日)、自民党、公聴会延期へ(23日)。これにより、有事三法案の衆院通過は6月上旬以降にずれ込む公算。会期延長も。
<国会審議ではっきりした法案の問題点>(志位委員長、22日)
- 自衛隊の海外での武力行使に地域的な歯止めがない。
- 「おそれ」や「予測」でも武力行使ができる構造に。集団的自衛権の行使に道。
- 米軍支援の内容が不明。
- 国民の自由と権利の制限に歯止めがない。
<憲法再生の政府を>
日本国憲法の示す平和と民主主義の体制を守り、発展させるのか。「有事」をでっち上げて自由と人権を抑圧する戦争と独裁の体制に道を開くのか。鋭い政治的対決が迫られる重大な時期に入った。体制をめぐるこの根本的対決を、民主連合政府の樹立によって最終決着とするたたかいを、いま、広く、速く、強く進めなければならない。
2)有事法制問題5つのポイント
- 有事法制が発動されれば、首相に独裁的権限が集中。憲法を停止。
- 国民生活すべてが、刑罰(懲役や罰金)で脅され、統制下に入る。
- 全般−国民の自由と権利を制限(「武力攻撃事態法案」3条)。業務従事命令で、医療、 土木建築、輸送などの業者を動員(自衛隊法103条)。
- 思想・良心の自由−戦争反対の信条にもとづく行為も処罰(物資保管命令違反等)(中谷防衛庁長官、7日)。
- 報道・集会の自由−「公共の福祉に反しないかぎり」という限定(福田官房長官、9日)。
- 所有権・財産権−土地、家屋、物資のとりあげ(自衛隊法103条)。
- 知る権利−「国家的な必要最小限度の秘匿。罰則も総合的に」(福田官房長官、8日)。
- 発動以前にも、教育や啓蒙など日常的にその準備がおこなわれる。
- 国民の協力義務の具体的内容は、個別法制で検討(2年以内に整備)。
- 平時から「戦時」に備えて「民間防衛組織」や「訓練」も(福田官房長官、 日)。
- 「有事」の認定が問題。自衛隊の艦船がインド洋で米軍の戦争に現に参戦。それが攻撃を受けた場合も「有事」に。(ベトナム戦争における北爆開始の口実となったトンキン湾事件のでっちあげを想起)
- 米軍の干渉戦争に連動。その米国は好戦的な世界政策を推進、暴走。テロ戦争の地球規模化、イラク攻撃の準備、核兵器の使用へ核戦略の転換。
- 「武力攻撃事態」がどのようなものか、「一概に言えない」(中谷)としながら、「周辺事態」と重なる。
- 海外に出かけている自衛隊への攻撃も「わが国」への攻撃とみなす。
- 「おそれ」や「予測」の段階でも武力行使も(7日、8日)。
3)平和のイニシアチブこそ
- 20世紀に記録された世界的な進歩と逆流
民主主義と人権、民族の独立、平和秩序、資本主義への規制、社会主義
国連憲章にもとづく平和の国際秩序か、アメリカが横暴をほしいままにする戦争と抑圧の国際秩序か(日本共産党第22回大会決議)
- 日本の国民的な目標と21世紀 「強兵」→「富国」→ 平和憲法(加藤周一)
安全保障−隣国との信頼関係
アジアの平和の流れ
世界全体の平和への貢献−経済的、政治的・外交的、文化的手段が重要(戦争でテロはなくならない)
- 「平和で公正な別の世界は可能だ!」「たたかいも希望も地球規模に広げよう」
世界社会フォーラム 1月31日−2月5日 ポルトアレグレ(ブラジル) 5万人
4)「さきょう平・民・懇」のとりくみ
- この基本的認識に立って、昨年9月から、テロと報復戦争、自衛隊派遣反対のたたかいをすすめ、小泉首相が今年1月、施政方針演説で有事(戦時)法制に言及してからは、とりわけ有事法制反対のとりくみを強化。連日の街頭宣伝は、7ヶ月を超える。有事三法案の国会上程後に始めた申し入れ活動は、倉知三夫会長を先頭に連日行ない、5月24日現在94の寺社に達した。また諸団体との共同(左京地区労、左京原水協、日本共産党左京地区委員会、母連)で、ほぼ月に1回のペースで、集会やデモを配置し、運動を広げる努力を継続。最近では5・3デモ、5・24集会。
- ホームページの公開 http://www.sakyo-heiminkon.jonex.ne.jp
<地域・団体のとりくみが流れを形成しつつある>
- 日本共産党 訴え、ポスター、パンフ。各支部が中軸となって共同を広げる。
- 住みよい鞍馬・静市をつくる会「有事立法を考える集い」5月31日(金)午後7時30分
- 高野平和ネット 5月22日発足、6月9日午後2時に小泉潤牧師を招いて集会
- 北白川 5・24集会に派遣 6月15日に公園でピーストーク 地域宣伝
- 吉田地域の会 5月15日発足、5月29日に総会 月・水・土に地域宣伝
- 市教祖 毎週金曜日午後5時〜、イズミヤ前で宣伝
- 母連 毎週土曜日午後4時30分〜、イズミヤ前で宣伝
- 新婦人 各班で学習会と行動提起
5)フランス大統領選挙を他山の石として
- フランス大統領選挙(2回投票制)の1回目(4月21日)で極右のルペン候補が、社会党のジョスパン候補を僅差で破り、2位。
- 投票日の深夜から、都市を中心に抗議行動が始まり、フランス全土に広がる。「こんなことになるならしっかり考えるべきだった」との思い。
- 私の感想5点
- ファシズムの台頭に対する機敏な反応、素早い行動、決然とした意思表示に感銘。
- 同時に左右相乗り政治による失望、政治的無関心、油断の危険性も教える。
- フランスでは決戦投票へ世論の覚醒が間に合うかもしれない。
- シラク候補−2,550万票(82.21%)、ルペン候補−550万票(17.79%)、棄権率−28.4%→20.29%
- 「民主主義を守る信任状」(社会党)
- しかし日本では? 小泉政治に対する世論の幻滅がどこへ向かうか?「有事法制と言論規制を伴った日本型ナチ政権」(亀井淳−「赤旗日曜版」4・28)を待望する動きも。
- 民主勢力の役割が重大に。民主主義的な態度を貫くことがとりわけ重要。「われわれは市民と交流するときの言葉遣い、行動、彼らの願いに対する理解について深く反省する必要がある。耳を傾けてきたのだろうか」(社会党のドラノエ・パリ市長−「赤旗」4・28)
6)世論づくりが決定的
- 街頭宣伝 毎日12時30分−13時30分、百万遍、熊野神社、修学院駅前。土曜日は午後4時30分、イズミヤ前。
- デモ 6月14日(金)午後6時15分、高野団地東開公園集合。6時45分出発。
- 学習会 5月24日(金)午後6時半、教文101。森川明さん。東京では大集会。
- ポスター、パンフ。
- 請願署名。
- 共同の申し入れ活動。
○以上は「骨」となる活動。各人、各団体が、主体的に行動することが重要。そして「国民が主人公」の政府の土台を地域、職場、学園につくることに繋げて行く。